
CPUの型番にはさまざまな数字やアルファベットが含まれていて、種類も多くて難しいですよね?
中でも、末尾につくアルファベット(サフィックス)は、そのCPUの特性を示す重要な情報の1つです。
「K」「U」「X」などのサフィックスが何を意味するのかを知ることで、用途に合ったCPUを選びやすくなります。
さらに、CPUの性能を比較する際には、PassMarkスコアなどのベンチマーク指標が役立ちます。型番だけでは分からない実際のパフォーマンスを数値で確認できるため、CPU選びの強力なヒントになります。
本記事では、IntelとAMDのCPUの型番や世代の見分け方、サフィックスの意味、PassMarkスコアを使った性能の見極め方など、CPU選びに必要な知識を詳しく解説します。
また、クロック数やコア数、スレッド数といった基本性能の指標についても紹介するので、自分にぴったりのCPUを選びたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
CPUの種類と型番
CPUはコンピュータの心臓部とも言える部分です。種類や型番、それに世代が違うと性能や使い勝手が大きく変わります。
「Core i7」や「Ryzen 7」など、数字が大きい方が高性能に見えますが、必ずしもそうとは限りません。
たとえば、古い第10世代のCore i7よりも、新しい第14世代のCore i5の方が、処理速度や電力効率が優れている場合が多いです。
CPUを選ぶ際には、型番だけでなく、世代やPassMarkスコアなどの性能指標も併せて確認しましょう。
インテル製CPUの世代
IntelのCPUでは、型番の先頭の数字で世代を判断できます。
たとえば、「Core i7-8650U」の場合、8650Uの先頭の「8」で第8世代であることが分かります。9000番台なら第9世代、14000番台なら第14世代です。
なお、2024年以降は「Core iシリーズ」が廃止され、Coreシリーズ(標準モデル)とCore Ultraシリーズ(AI機能付きモデル)に再編されました。
たとえば、「Core Ultra 7 165H」の場合、先頭の「1」で第1世代(2024年)が分かります。
2025年2月現在、第14世代のCore iシリーズと、第1世代のCoreシリーズおよびCore Ultraシリーズが最新です。
AMD製CPUの世代
Ryzenの「Zen」アーキテクチャ(CPUの機能や性能などを決定する基本的な仕組み)の世代を型番からある程度は判断できます。
ここで、最初の数字が「Zen」の世代を示しています。5000番台からは、Zenがデスクトップ用とノート用で統一されました。それ以前は、デスクトップ用2000番台、ノート用3000番台がZen+に該当するなどと統一されていませんので、ご注意ください。
- Ryzen 1000/2000 シリーズ: Zen
- Ryzen 2000/3000 シリーズ: Zen+
- Ryzen 3000/4000 シリーズ: Zen 2
- Ryzen 5000 シリーズ: Zen 3
- Ryzen 6000 シリーズ: Zen 3+
- Ryzen 7000 シリーズ: Zen 4
- Ryzen 9000 シリーズ: Zen 5
インテルとAMD
インテルとAMDは主要なCPUメーカーです。どちらも優れた特徴があります。
- インテル:一般的には高いクロック周波数と優れた単一スレッド性能を持つ。高性能でも消費電力が低いのが特徴。
- AMD:コストパフォーマンスに優れる。コア数が多く、マルチスレッド処理に強いのが特徴。
インテルの主なCPUサフィックスとその意味
- K: オーバークロック可能
- U: 低電力・超薄型ノート用
- H: 高性能ノート用
- G: 内蔵GPUあり
- インテル独自のテクノロジー: ターボブースト
- インテルのCPUには「ターボブースト」という技術があります。これは、必要なときに自動的にクロック速度を上げる機能です。
AMDの主なCPUサフィックスとその意味
- X: 高性能
- G: 内蔵GPUあり
- U: 低電力・超薄型ノート用
- AMD独自のテクノロジー: Precision Boost
- AMDのRyzenプロセッサには「Precision Boost」というテクノロジーがあります。これもインテルのターボブーストと同様、必要に応じてクロック速度を自動調整する機能です。
インテルとAMDの比較表
CPUの末尾に表示されるアルファベット(サフィックス)が何を意味するのかをまとめた表です。
特徴 | インテル | AMD |
オーバークロック可能 | K | X |
内蔵GPU | G | G |
低電力 | U | U |
高性能ノート | H | - |
CPUクロック数、コア、スレッド数
CPUの性能を評価するための重要な指標が、クロック数、コア数、そしてスレッド数です。
「Core i7-8650U」というCPUを例にして、見ていきましょう。
Core i7-8650Uの概要
- 基本クロック(ベースクロック):1.90GHz
- 最大クロック(ターボクロック):4.20GHz
- コア数:4
- スレッド数:8
- クロックとは?
- 基本クロック(ベースクロック)と最大クロック(ターボクロック)が記載されている場合が多いです。これらの数値が高い方が、より処理能力が高いと言えます。
基本クロックは通常時の動作速度を表します。 - 負荷がかかるような処理をおこなう際に、最大クロックまで上がるような仕組みになっています。
そのため、ゲームなどの重たい処理をおこなう予定なら、最大クロック数が高いモノを選ぶようにしましょう。
- コア数とは?
- これはCPUに内蔵しているプロセッサー(命令を処理する装置)の数になります。
かつてのCPUは、1つのプロセッサーしかなかったので、順番に命令を出して処理をするしかありませんでした。しかし、近年のCPUは複数のプロセッサーを内蔵しているので、同時に命令を出して処理できるようになりました。 - コア数が多ければ多いほど性能が高く、同時に処理できる能力が高くなります。
- スレッド数とは?
- スレッド数とは、コア数に似ていますが、同時処理が可能な命令の最大数を表しています。
通常、プロセッサー(コア)は1つの命令を処理します。しかし、処理に余裕がある場合は、コア1つで2つの命令を処理できるCPUがあります。 - 今回の例の「Core i7-8650U」だと、コア数「4」でスレッド数「8」なので、同時に処理できる命令数は4です。しかし、余裕があれば最大8の命令まで同時に処理できることになります。
ターボクロックとオーバークロック:一般的な誤解を解明
ターボクロックとオーバークロックは、よく聞く用語ですが、多くの人が誤解しています。
- ターボクロック:ターボブースト(Turbo Boost)という自動的に設定されたクロック数まで上がり動作するインテル製CPUの機能で、一時的に高速化した際のクロック数。
- オーバークロック:ユーザーが意図的に速度を上げるもの。正しくおこなえば性能向上が期待できますが、CPUが過熱したり寿命が短くなる可能性があります。
CPU性能を数値で比較できる「PassMarkスコア」とは?
CPUの性能は、クロック数やコア数、スレッド数といったスペック情報だけでは測れない部分も多いです。
そこで役立つのが、PassMarkスコアです。
これは、CPUの処理能力を数値で比較できるベンチマーク指標で、数値が高いほど高性能を示します。
PassMarkスコアの目安(2025年版)
用途 | PassMarkスコアの目安 | CPU例 |
インターネット・Office作業 | 4000~6000 | Core 3 / Ryzen 3 |
オンライン会議・動画視聴 | 6000~10000 | Core 5 / Ryzen 5 |
画像編集(Photoshopなど) | 10000~15000 | Core Ultra 5 / Ryzen 7 |
動画編集(Premiere Proなど) | 15000~25000 | Core Ultra 7 / Ryzen 7 |
ゲーミング(4K高画質) | 20000以上 | Core Ultra 9 / Ryzen 9 |
AI・機械学習・3D制作 | 25000以上 | Core Ultra 9 / Threadripper |
PassMarkスコアの調べ方
- PassMark公式サイト にアクセスします。
- メニューから「CPU Benchmarks」を選択します。
- 検索バーにCPUの型番を入力します。例:Core Ultra 7 155H
- 検索結果ページのCPU Markを確認します。例:CPU Mark 24,951

各メーカーの末尾アルファベット(suffix:サフィックス)
各メーカーがCPUの型番の末尾につけるアルファベット(サフィックス)にはそれぞれ意味があります。これらのサフィックスからも、CPUの特性を理解する手がかりになります。
Intel デスクトップ向けCPUの一覧
末尾 | 例 | 概要 | オーバークロック | 内蔵グラフィック | 備考 |
無印 | Core i7 11700 | 通常版CPU | × | 〇 | |
K | Core i9 11900K | オーバークロック可能で、高い処理性能を持つ | 〇 | 〇 | |
F | Core i9 11900F | グラフィックボードが必須 | × | × | |
KF | Core i9 11900KF | オーバークロック可能だが、グラフィックボード必須 KとFを統合したモデル | 〇 | × | |
KS | Core i9 10900KS | Kよりクロック周波数が高い | 〇 | 〇 | |
X XE | Core i9 10900X Core i9 10980XE | 超高性能だが高価 Extreme Editionの最上級モデル | 〇 | × | |
T | Core i9 11900T | 超省電力モデル Sよりも省電力 | × | 〇 | |
S | Core i7 4770S | 省電力モデル | × | 〇 | 第4世代に存在 |
C | Core i7-5775C | グラフィックス性能強化モデル | × | 〇 | 一部の世代で存在 |
R | Core i7-4770R | グラフィックス性能強化モデル | × | 〇 | 第4世代に存在 |
Intel ノート・モバイル向けCPUの一覧
末尾 | 例 | 概要 | オーバークロック | 内蔵グラフィック | 備考 |
H | Core i9-11900H | ハイエンド向けCPU | × | 〇 | |
HK | Core i9-11900HK | HとKを統合したCPU | 〇 | 〇 | |
HX | Core i9-11900HX | Hよりも高性能 | 〇 | 〇 | |
HF | Core i7-11900HF | 内蔵GPU非搭載のCPU | × | × | |
P | Core i7-11700P | 一般ユーザー向けCPU | × | 〇 | |
U | Core i5-10210U | 超省電力CPU、軽量・コンパクトなモバイルPC向け | × | 〇 | |
G1/G4/G7 | Core i7-11900G7 | GPU内蔵CPU | × | 〇 | G1<G4<G7の性能順 |
Y | Core i7-10510Y | 超低消費電力CPU、冷却ファン不要 | × | 〇 | |
G | Core i7-8809G | AMD GPUを組み込んだCPU(※第8世代まで) | × | 〇 | AMD GPU搭載 |
HQ | Core i7-7920HQ | ※第7世代まで | × | 〇 | 主に過去のモデル |
M | Core i7-4600M | ※第4世代まで、発熱や消費電量が抑えられている | × | 〇 | 主に過去のモデル |
MQ | Core i7-4910MQ | ※第4世代まで | × | 〇 | 主に過去のモデル |
B | Core i7-8700B | 第8世代から、ソケット形状がノートパソコン向け | × | 〇 |
AMD デスクトップ向けCPUの一覧
末尾 | 例 | 概要 | オーバークロック | 内蔵グラフィック | 備考 |
無印 | Ryzen 9 5900 | 通常版 | × | × | 通常版CPU |
X | Ryzen 9 7950X | Ryzenシリーズの上位モデル | 〇 | × | ハイパフォーマンス、XFRに対応 |
XT | Ryzen 9 3900XT | Xの高性能版 | 〇 | × | Xよりも100Hz高いブーストクロック |
G | Ryzen 7 5700G | CPU内蔵GPU搭載モデル | × | 〇 | 小型PC向け(TDP 65W) ※TDPとは、発熱量やおおまかな消費電力の指標 |
GE | Ryzen 7 5700GE | CPU内蔵GPU搭載モデル | × | 〇 | "超"小型PC向け(TDP 35W) |
WX | Ryzen Threadripper PRO 3995WX | Ryzen Threadripperシリーズ 最上位モデル | × | × | プロ向けCPU |
PRO | Ryzen 9 PRO 5945 | ビジネス(企業向け)向けCPU | × | × | セキュリティー、品質、信頼性、耐用年数の向上 |
AMD ノート・モバイル向けCPUの一覧
末尾 | 例 | 概要 | オーバークロック | 内蔵グラフィック | 備考 |
H | Ryzen 7 6800H | 高性能モデル | × | × | ゲームやクリエイティブ向け |
HX | Ryzen 9 6900HX | オーバークロック可能で、高性能モデル | 〇 | × | ゲームやクリエイティブ向け |
HS | Ryzen 9 6900HS | 省電力+高性能モデル | × | × | |
U | Ryzen 7 6800U | 超省電力モデル | × | × | 薄型ノートPC向け |
C | Ryzen 7 5825C | 省電力+高処理能力 | × | × | ビジネス・Chromebook向け |
まとめ
CPUの型番につくアルファベット(サフィックス)は、そのCPUの特性や用途を示す重要な指標です。
これを理解することで、自分の目的に合ったCPUを選びやすくなります。
世代による性能差に注意!
「Core i7」や「Ryzen 7」と聞くと高性能に感じるかもしれませんが、古い世代の「i7」よりも新しい世代の「i5」の方が性能が良い場合が多々あります。
たとえば、
第10世代のCore i7より、第13世代のCore i5の方が処理速度や電力効率が優れています。これは、新しい世代ではCPU内部の設計が進化し、同じクロック数でも効率的にタスクをこなせるようになるためです。
- Intel Core i7-10610U @ 1.80GHz (第10世代)スコア:6,640
- Intel Core i5-1335U @ 1.30GHz (第13世代)スコア:14,575
CPU選びでは「型番」よりも「世代」と「PassMarkスコア」を確認することが重要です。
サフィックスの違いを理解しよう
- Intelの特徴
- K:オーバークロック可能
- F:内蔵グラフィック非搭載
- H:高性能ノート向け
- U:省電力ノート向け
- AMDの特徴
- X:高性能
- G:内蔵グラフィック搭載
- U:省電力ノート向け
- PRO:ビジネス向け
デスクトップとモバイルでサフィックスが異なることに注意
同じCore i7やRyzen 5でも、末尾のアルファベットが違えば特性も変わります。
たとえば、「H」はノート用の高性能モデル、「U」はモバイル向けの省電力モデルです。
サフィックスは性能の“目安”に過ぎない
末尾のアルファベットは一つの指標ですが、全ての性能を網羅しているわけではありません。ベンチマークテストなどの詳細なデータも参考にしましょう。
このように、CPUの末尾アルファベット(サフィックス)を理解することで、より適切なCPU選びが可能です。購入前には、各メーカーの公式サイトや専門のレビューサイトを参考に、最適なCPUを見つけましょう。