
- ゴミ箱から削除してしまったファイルをどうしても取り戻したい
- 外付けHDDやUSBメモリが急に使えなくなって困っている
- 間違ってフォーマットして、大事なデータがすべて消えた
- パーティションが壊れてしまい、ドライブにアクセスできなくなった
こうしたトラブルに直面すると、どうすればいいのか分からなくなりますよね。
しかし、適切なデータ復元ソフトを使えば、消えたデータを取り戻せる可能性があります。
とくに、誤削除やフォーマットが原因の場合はソフトによる復旧が有効です。
ただし、ストレージ自体が物理的に故障している場合はソフトでの復元が難しく、専門業者への依頼が必要になることもあります。
本記事では、無料で最大2GBまで復元できるデータ復旧ソフト「EaseUS Data Recovery Wizard Free」について、特徴や使い方、有料版との違い、他ソフトとの比較まで詳しく解説します。
データを削除した直後にやるべきこと
データを削除してしまった直後は、復旧の成功率を高めるために次のポイントを意識しましょう。
- Cドライブで削除した場合は、すぐにPCの使用を控える
- 復元ソフトをすぐに実行する
- データを別のドライブに保存する
- できれば、復元ソフトは事前にインストールしておく
- 起動しないPCからデータを救出したい場合は、ストレージを取り出して他のPCでスキャン
新たなデータを書き込むと、削除されたファイルが上書きされてしまうため、操作を最小限にとどめ、迅速な対応がカギになります。
より確実に復元するための手順
より安全に復元したい場合は、以下の手順を推奨します。
- パソコンをシャットダウンする
- ストレージ(HDDやSSD)を取り出す
- 別のPCに接続して復旧作業を行う
- EaseUSをその別PCにインストールし、取り出したドライブをスキャンする
この方法なら、元のパソコンにデータが上書きされることなく、安全に復元作業が可能です。
EaseUS Data Recovery Wizard Freeとは?(検証バージョン:19.4.0)
EaseUS Data Recovery Wizard Freeは、Windows・Mac両対応のデータ復元ソフトです。
誤削除、フォーマット、パーティションの破損、ウイルス感染など、さまざまな理由で失われたデータをスキャンして復元できます。
HDD、SSD、USBメモリ、SDカード、外付けHDDなど、ほとんどのストレージに対応しており、無料版でも最大2GBまで復元できるのが特徴です。
また、NTFSやFATファイルシステムに加えて、ファイルシステムが壊れて認識されなくなった「RAWドライブ」にも対応しており、こうしたトラブルにも柔軟に対処できます。
RAWドライブとは?「フォーマットしてください」と出たときの状態
ドライブを開こうとしたときに、以下のようなメッセージが表示された経験はありませんか?
- 「フォーマットする必要があります」
- 「アクセスできません」
これは「RAWドライブ」と呼ばれる状態で、ファイルシステム(NTFSやFATなど)が壊れて、Windowsが正常に読み込めなくなっている状況を指します。
よくある原因
- USBを安全に取り外さず抜いた
- 突然の電源断やフリーズ
- パーティションエラー
- OSアップデートの失敗
中のファイルが消えたように見えても、データそのものは残っている可能性があり、EaseUSのような復元ソフトで検出・復旧できる場合があります。
無料版と有料版の違い
EaseUSには無料版と有料版があり、機能制限に違いがあります。
また、有料版にはPRO版とPRO+winpe版の2種類があり、Windowsが起動しないパソコンでデータ復旧を試すにはPRO+winpe版が必要になります。
項目 | 無料版 | 有料版 |
復元可能なデータ量 | 最大2GB | 無制限 |
クイックスキャン | ✅ | ✅ |
ディープスキャン | ✅ | ✅ |
フォーマット復元 | ✅ | ✅ |
RAID復元 | ✅ | ✅ |
WinPE起動メディア | ❌ | ⚠️ 要winpeエディション |
技術サポート | ❌ | ✅ |
無料版は軽度なデータ復旧には十分ですが、容量制限やサポートの有無を考慮すると、大量データを扱う場合は有料版の検討が必要です。
インストール方法
先述のとおり、データを削除した後にデータ復元ソフトのインストールはしないようにしましょう。
事前にインストールしてあるのがベストです。
インストール手順
- EaseUS公式サイトにアクセス
- 「無料ダウンロード」をクリック
- ダウンロードしたセットアップファイルを実行
- 事前にインストールするなら、「今すぐインストールする」をクリック
事後にインストールするなら、「インストール設定」からインストール先を指定
(※とくに復元したいドライブにはインストールしない) - ソフトを起動し、初期設定を完了


データ復元の手順
1. スキャン方法の選択
起動後にドライブや特定の場所を選んで、「紛失データの検索」ボタンをクリックすると「クイックスキャン」が実行されます。
その後、自動的に「ディープスキャン」に移行します。
- クイックスキャン:削除直後のファイルを素早く検出
- ディープスキャン:破損セクターやフォーマット後のデータを深く探索

2. スキャン結果の確認
- ツリー形式でフォルダ構造を表示
- ファイルの種類(画像・動画・ドキュメントなど)で絞り込み可能
- 日付やファイル名でのフィルタ検索に対応
- プレビュー機能で復元前に内容を確認できる

3. 復元操作
- 復元したいファイルにチェックを入れる
- 「すべて復元する」ボタンをクリック
- 復元先を選択(必ず別のドライブを指定)
- 復元完了後、ファイルが正しく開けるか確認する


復元できないときの対処法
以下のようなケースでは追加の対策が必要です。
ファイルが見つからない場合
- スキャン対象ドライブを誤っていないか再確認する
- ディープスキャンを実行して再確認
- 他の復元ソフト(例:MiniToolやRecuva)を試す
復元ファイルが破損している場合
- 画像・動画は「EaseUS Fixo」などの修復専用ツールを試すことが可能(プレビューまでは無料、保存には有料版が必要)
- Office文書の場合は、Microsoft Officeに標準搭載されている「開いて修復」機能を使用し、それでもダメな場合は自動保存ファイルや一時ファイル(.asd/.tmp)を確認する
他ソフトとの比較(MiniTool/Recuva)
EaseUS以外にも、無料で使えるデータ復元ソフトはいくつか存在します。
ここでは、代表的な「MiniTool Power Data Recovery」と「Recuva」と比較して、EaseUSとの違いを確認してみましょう。
機能 | EaseUS | MiniTool | Recuva |
無料復元容量 | 最大2GB (SNS共有) | 1GB | 無制限 |
RAW対応 | ✅ | ✅ | ❌ 要ドライブ割り当て |
ブータブルメディア | ⚠️ 有料版の上位エディションで対応 | ⚠️ 有料版で対応 | ✅ 無料ポータブルあり |
プレビュー機能 | ✅ | ✅ | ✅ |
なお、MiniTool Power Data Recoveryについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

無料版で十分?有料版が向いているケースとは
無料版で対応できるケース
- 写真数枚、文書数ファイル程度の軽度なデータ復旧
- パソコンやストレージを手放す際のデータ消去の確認に使用
有料版が必要なケース
- 業務データや動画ファイルなど2GB以上のファイル
- フォーマット済みドライブからデータを大量に復元したい
- サポートを受けたい
まとめ
EaseUS Data Recovery Wizard Freeは、削除ファイルやフォーマット後のデータを自宅で簡単に復元できる高機能なデータ復旧ソフトです。
初心者でも操作しやすく、無料版でも最大2GBまでのファイルを復元できるため、次のような軽度なトラブルには最適です。
- ゴミ箱を空にしてしまった
- USBメモリの中身を誤って削除した
- フォーマットしてしまったSDカードを元に戻したい
これらのケースでは、まずEaseUSの無料版を試してみることで、お金をかけずにトラブルを解決できる可能性が高いです。
また、パソコンを手放す前にストレージを初期化した場合、本当にデータが消えているかを確認する目的でも、EaseUSの無料版は有効です。
復元結果がゼロであれば、第三者からの復元リスクをある程度判断できます。
実際、以下の関連記事では、初期化・ゼロクリアなどを実施したHDDやSSDに対してEaseUSで復元を試み、その消去状態を検証しています。
完全削除に対する復元可否や、cipherコマンド・ゼロクリアとの相性についても確認できるので、データ消失リスクを事前に理解しておきたい方にはおすすめです。
ただし、以下のようなケースでは、有料版の導入も検討すべきです。
- 大量の写真・動画など、2GBを超えるファイルを復元したい
- フォーマット済みのHDDや破損したパーティションから大量にデータを取り戻したい
- 業務用データやRAID環境など、高度な環境に対応した復旧が必要でサポートを受けたい
とくに、ディープスキャン機能やプレビュー機能は無料版でも十分に体験できるため、まずは実際にインストールして、どこまで復元できるのかを確認することが重要です。
また、復元対象のドライブにソフトをインストールしてしまうと、データが上書きされてしまい、復元不可能になることもあります。
復旧作業は一発勝負になるケースもあるため、この記事で紹介した注意点や手順を参考に、慎重に操作を進めてください。
万が一のトラブルに備え、今のうちからデータ復旧ツールの使い方を知っておくことは、大きな安心につながります。
EaseUSの無料版は、誤削除などの軽度なトラブルには対応しやすいため、必要に応じて選択肢の一つとして覚えておくと安心です。
実際に試してみた!EaseUSの無料版でPNGファイルを復元できるか検証

SDカードに画像ファイル(PNG)を5つ保存し、それらをShift+Deleteで完全削除した後、EaseUS Data Recovery Wizard Freeでスキャンを実施しました。
結果として、5つのファイルすべてのファイル名は検出されましたが、そのうち1つのファイルは復元後に破損しており、画像として正常に表示できませんでした。
その後、同じSDカードをRecuvaとMiniToolでスキャンして比較したところ、RecuvaではEaseUSとほぼ同じ結果(5つ中1つが破損)となりました。
一方、MiniToolでは4ファイルしか検出されず、さらにファイル名はすべて「復元された_png_ファイル」などの汎用名に置き換えられていました。


このように、どの復元ソフトにも得意・不得意があるため、必ずしも"完全な復元"が可能とは限りません。
複数のツールを比較しながら試してみることが現実的なアプローチと言えるでしょう。
無料でもある程度は復元できると実感できた一方で、破損ファイルの修復には有料ツールを使うという選択肢も考えられますが、必ずしも成功するとは限りません。
やはり、最も確実な対策は、日頃からこまめにバックアップを取っておくことだと強く感じました。